解説:H.sin氏(機械部門)
令和4年
Ⅲ-32
下図に示すように,水平面に対して角度θの傾斜を持つ壁面の上を一定の厚さHの液膜が流れている。壁面では滑り無し条件,水面では滑り条件が成立し,流れは定常の層流とみなしてよい。このとき,液表面における速度Uを表す式として,適切なものはどれか。ただし,重力加速度g,液体の密度をρ,液体の粘性係数をμとする。
①ρg sinθ H2/2μ
②ρg cosθ H2/2μ
③ρg sinθ H2/μ
④ρg cosθ H2/μ
⑤g cosθ H2/μ
解説
[解くために必要な知識]
流体の運動方程式を考えます。
流れ速度をvxとした場合、
μ(d2vx/dz2)+ρgsinθ=0
となります。
境界条件は、平板と接している流体の速度は0となります。
vx=0 at z=0
また、自由表面においては運動量=0となるため
∂vx/∂z=0 at z=H
と表すことができます。
では問題を解いていきます。
運動方程式を変形すると
d2vx/dz2 = -ρ/μ g sinθ
となります。
1回積分をすると
dvx/dz = -ρ/μ g sinθ・z +C1
2回積分で
vx=-ρ/2μ g sinθ・z2 +C1z +C2
境界条件より積分定数を求めることができる。
vx=0 at z=0
より
C2=0
∂vx/∂z=0 at z=H
より
C1=ρg sinθH/μ
vx= -ρg sinθz2/2μ+ρg sinθHz/2μ
z=Hの流速を求めるため代入すると
vx= ρg sinθ H2/2μ
よって回答は①となります。
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