· 

技術士一次試験 専門科目 機械部門 R4 Ⅲ-22

解説:H.sin氏(機械部門)

令和4年

Ⅲ-22

下図に示すように,水平から角度αだけ傾いた斜面に質量M,半径rの円柱を置き,静かに放す。そのときの時刻をt=0とし,その位置から斜面に沿って下向きに測った距離をx,静止状態からの円柱の回転角度をθとする。このとき、円柱と斜面の間に作用する摩擦力F(斜面に沿って上向きを正とする)により,円柱はすべらずに斜面を転がり落ちる,すなわち,x=rθが成立しているものとする。なお,中心軸周りの円柱の慣性モーメントは1/2・Mr2,重力加速度はgである。以上の条件のもとで,xとtの関係として適切なものはどれか。

①x=1/2gt2sinα

②x=1/3gt2sinα

③x=2/3gt2sinα

④x=4/3gt2sinα

⑤x=gt2sinα

 

解説

[解くために必要な知識]

直進運動における運動方程式

md2x/dt2=F

回転運動における運動方程式

Id2θ/dt2=L

Iは慣性モーメント

で表すことができる。

 

では問題を解いていきます。

物体Mの質点が斜め下方向に移動する際の運動方程式は

M(d2x/dt2)=Mgsinα-F …(1)

物体Mの質点が回転する際の運動方程式は

I(d2θ/dt2)=Fr …(2)

 

問題文よりrθ=xなのでθ=x/r を2回微分すると

(d2θ/dt2)=1/r(d2x/dt2)

回転する際の運動方程式(2式)に上式を代入すると

I/r(d2x/dt2)=Fr

問題より慣性力はI=Mr2/2で与えられており 

Mr/2(d2x/dt2)=Fr

M/2(d2x/dt2)=F

物体Mの質点が斜め下方向に移動する運動方程式(1式)をFで整理すると

F=Mgsindα-M(d2x/dt2)

M/2(d2x/dt2)=Mgsinα-M(d2x/dt2)

(d2x/dt2)=2/3gsinα となる。

1回積分すると

dx/dt=2t/3gsinα+C1

2回積分で

x=1/3t2gsinα+C1t+C2

(不定積分となるため、不定数が出てくる)

 

T=0でdx/dt=0 よりC1=0

T=0で x=0 より C2=0

 

X=1/3t2gsinα 

 

よって回答は②となります。