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技術士一次試験 専門科目 機械部門 R4 Ⅲ-15

解説:H.sin氏(機械部門)

令和4年

Ⅲ-15

下図のように長さlで一様な質量mの細長い剛体棒が固定軸Oの回りを微小角θで振動する。重力加速度gとするとき,この棒の固有角振動数として,適切なものはどれか。

①√g/l ②√3g/l ③√6g/l ④√g/2l ⑤√3g/2l

 

解説

[解くために必要な知識]

 振り子の円周方向にかかる力Nzとすると運動方程式は

Nz = dL/dt = I・dω/dt = I・d2θ/dt2

L:角運動量

L=Iω

I:慣性モーメント

ω:角速度

 となります。

慣性モーメント dI=x2dm

単振動の運動方程式

d2θ/dt2+ω2θ=0

となります。

 

では問題を解いてみましょう。

 

 接線方向にかかる点O回りの力は点Oから重心までの距離l/2と接線方向荷重mgsinθの積となり

Nz=-l/2×mg・sinθ

運動方程式に代入すると

 I・d2θ/dt2=-l/2×mg・sinθ

 

 慣性モーメントを求めます。

dI=x2dm という定義となります。

ここで、重量は微小区間dmを0~Mまで積分したものであり、0からlまでの距離を積分したものに置換えると

∫dm (積分範囲:0,M)= ∫m/l dx (積分範囲:0,l) 

I=∫mx2/l dx(積分範囲:0,l) 

I=[x3/3l](積分範囲:0,l)

=ml2/3

 

先ほどの運動方程式

I・d2θ/dt2=-l/2×mg・sinθ

のIで両辺を割って Iを代入する

このとき、θが微小なのでsinθ≒θ とする

d2θ/dt2=-3l/2l2×gθ=-3g/2l・θ

 

単振動の運動方程式より

d2θ/dt2=-3g/2l・θ=-ω2θ

 

ω=√3g/2l

 

よって回答⑤となる。