解説:H.sin氏(機械部門)
令和4年
Ⅲ-13
下図に示すフィードバック制御系が安定に動作するためのゲインKの範囲として,適切なものはどれか。
①K>0
②K<0
③K<0 又は 6<K
④0<K<6
⑤0<K<30
解説
[解くために必要な知識]
単純フィードバックの伝達関数は
Gs=G0(S)/(1+G0(S))
で表すことができます。
ブロック線図については頻出ですので、基本は覚えてください。
制御が安定か不安定かを判定するためにはフルビッツの安定判別法を用いる。
フルビッツの安定判別法は伝達関数の分母=0とする多項式を判定する。
分かりにくいので、下のような多項式を例にします。
as5+bs4+cs3+ds2+es+f=0
①全ての係数が存在すること
②全ての係数が同一符号である(全て正、全て負)
の条件を満たすときに使用できる判定方法となる。
フルビッツの行列方程式は a0s5…an のときに、n×n行列を作ります。
Δ1=b
Δ1~Δnの解が全て正であるとき、制御は安定であると言える。
では問題を解いてみましょう。
Gs=G0(S)/(1+G0(S))
G0(S)=5K/s(s+1)(s+5)
伝達関数の分母は
1+G0(S)=1+ 5K/s(s+1)(s+5)
=(s(s+1)(s+5)+5K))/s(s+1)(s+5)=0
s(s+1)(s+5)+5K=0
s3+6s2+5s+5K=0
全ての係数が正で、0の項がないため3×3行列でフルビッツ安定判別をおこなう。
Δ1=6>0
Δ2=6×5-5k×1=30-5k>0 k<6
Δ3=(6×5×5k)+0+0 - 0 - 5k×1×5k-0
=150k-25k2>0
k(6-k)>0
より、 0<k<6
回答は④となる。
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