解説:H.sin氏(機械部門)
令和4年
Ⅲ-1
A群の用語と関連する用語をB群の中から選ぶとき、A群の用語の中で関連する用語がB群にないものはどれか。
A群
①主応力 ②降伏応力 ③応力集中係数
④縦弾性係数 ⑤座屈荷重
B群
カスティリアノの定理 オイラ―の理論 並行軸の定理 フックの法則
モールの応力円 ミーゼスの条件 重ね合わせの原理
解説
[解くために必要な知識]
(1)X,Yの2方向に力が作用したときのY軸を法線とする面に対しx方向のせん断力をτxyとする。
長方形内の点を通る面に生じる応力を求めるために上記のような三角形ABCを考える。
x’軸の力のつり合いより
ABσx’=BCσxcosθ+ACσysinθ+BCτxysinθ+ACτxycosθ
y’軸の力のつり合いより
ABτx’y’=-BCσxsinθ+ACσycosθ+BCτxycosθ-ACτxysinθ
上記の2式を変形すると(ここでは割愛します)
{σx’-(σx+σy)/2}2+τ’xy2 ={(σx-σy)/2}2+ τ2xy
σx’とτxy’ の円の公式になります。中心((σx+σy)/2,0)半径(σx-σy)2+τxy2
上記の円をモールの応力円といい、せん断応力が0となる主応力を求める際に利用します。
(2)材料に負荷を加えると、塑性変形が急激に生じはじめる。このときの応力を降伏応力という。一般的に、示される応力―ひずみ線図による降伏応力は一軸応力実験に基づいています。
しかし、延性材料などに非一軸応力を加えた場合には一軸引張試験で観察されたよりも大きな抵抗を示すことからせん断エネルギー説に基づく相当応力による降伏条件を示しまた。この相当応力で破断することをミーゼスの条件という。
(3)材料を1方向に引張力を与えた場合に生じる単位長さあたりの変形量(ひずみ)をεとする。応力とひずみはある点までは比例関係にありσ=Eεで示すことができる。この関係をフックの法則と呼び、比例定数Eを縦弾性係数(ヤング率)という。
(4)細長い物体は引張力より圧縮力の方が弱く、材料強度よりも小さな応力で破断する。座屈が発生する荷重を座屈荷重といい、オイラ―の理論で求められる。
オイラ―の座屈荷重は
P=n(π2EI)/l2
で表すことができる。
E:縦弾性係数
I:断面二次モーメント
l:長さ
n:両端の固定方法で決まる定数
定数は下のような定数で決まる
以上、言葉の定義を覚えておきましょう。
では、問題を解いていきます。
A群の用語に対応するB群の用語
①主応力 ⇒モールの応力円
②降伏応力 ⇒ミーゼスの条件
③応力集中係数⇒該当なし
④縦弾性係数 ⇒フックの法則
⑤座屈荷重 ⇒オイラ―の理論
よって回答は③応力集中係数となります。//
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