令和3年
Ⅲ-3
図に示すように、角度θで剛体壁に取り付けられた2本の棒からなるトラス構造において、接点Oに下向きの荷重Pが作用し、破線のように変形した場合を考える。各接点は滑節で、棒の自重は無視できるものとするとき、接点Oの下向きの微小変位δとして、適切なものはどれか。ただし、棒の断面積をA、縦弾性係数をEとする。
解答
③
解説
[解くために必要な知識]
全く同じ問題が令和1年に出題されています。(令和1年Ⅲ-2)
ウィリオの作図法を使います。ウィリオの作図法とは、次の手順で変位を求めるものです。
まず2本の棒材が滑節(ピン結合)で図3.1に示すように壁面に固定されていてO点に鉛直下向きの荷重Pがかかっている場合を考えます。
このときO点の移動先O‘を求める手順は次の通りです。
①部材1の伸び、δ1を求める。
②部材2の伸びδ2を求める。
③O点から部材1がδ1延びた先を描く。
④上記③の先端から90°の線を描く。
⑤O点から部材2がδ2延びた先を描く。
⑥上記⑤の先端から90°の線を描く。
⑦上記④と⑥の交点がO点の移動先O’となる。
では問題を解いていきます。
上側の棒を1、下側の棒を2とします。Pを作用させたとき、図3.2に示すように棒1に生じる張力をT1、棒2に生じ圧縮力をT2とします。それぞれを水平方向hと鉛直方向vの成分に分解します。
◆まず水平方向および鉛直方向の力の釣り合いを考えます。
*水平方向は左向きを+鉛直方向は下向きを+とします。
水平方向 T1h-T2h=0 (1)
鉛直方向 T1v+T2v=P (2)
◆次に各分力を求めます。
水平方向
T1h=T1sinθ
T2h=T2sinθ
この2式と(1)式から次の関係が得られます。
T1=T2 (3)
鉛直方向
T1v=T1cosθ
T2v=T2cosθ
この2式と(2)(3)式から次の関係が得られます。
P=2Tcosθ
T=P/2cosθ (4)
◆さらに各棒の伸びを求めます。
棒1の長さL1=L/siinθ (5)
棒1の伸びδ1=TL1/AE (6)
(4)、(5)式を(6)式に代入します。
δ1=PL/(2AEsinθcosθ)
ここで、図3.3に示すようにウィリオの作図法からδとδ1には次の関係があります。
δ=δ1/cosθ
δ=PL/(2AEsinθcos2θ) //
コメントをお書きください
あ (日曜日, 27 8月 2023 14:42)
T1h+T2h=0、T2h=-T2sinθとT2hの符号がそれぞれ異なるのはどうかんがえればいいでしょうか?
管理人 (日曜日, 10 9月 2023 11:03)
あ様
回答遅くなり大変申し訳ございません。
符号は誤記です。修正しました。
水平左側を+にとると(1)式は次の通り。
T1h-T2h=0
また分力(T2とT2sinΘの関係性)は符号関係ありませんので
T2h=T2sinθ
となります。
あ (月曜日, 11 9月 2023 22:24)
ご回答いただきありがとうございます。
ちなみに「鉛直方向は下向きを+」とのことですが、
「鉛直方向 T1v+T2v=P (2)」について、
Pは下向きにかかっているので、
T1v+T2v+P=0 → T1v+T2v=-Pとならないのはどういうことでしょうか?