令和3年
Ⅲ-26
エントロピ―に関する次の(ア)~(オ)の記述のうち、正しいものの組合せとして、適切なものはどれか。
(ア)エントロピーは気体が保有するエネルギーのことである。
(イ)エントロピーは必ず増大する。
(ウ)断熱された容器内の液体をスクリューで攪拌したとき、液体のエントロピーは増大する。
(エ)断熱された流路を流体が流れて抵抗により圧力が減少した。このとき流路は断熱されているので流体のエントロピーは変化しない。
(オ)断熱された容器内に置かれた高温の物体から低温の物体へ熱が伝わるとき、容器内のエントロピーは増大する。
①ア、イ ②ア、エ ③イ、ウ
④ウ、エ ⑤ウ、オ
解答
⑤
[解くために必要な知識]
◆熱力学の第ゼロ法則
第3の物体と熱平衡の状態にある二つの物体は、お互いに熱平衡の状態にある。
◆熱力学の第一法則
1.熱はエネルギの一つの形であり、仕事⇔熱の変換が可能である。
2.仕事⇔熱の変換前後でエネルギの総量は変わらず一定である。
3.第一種の永久機関を作ることは不可能である。
*第一種の永久機関:エネルギを消費しないで仕事をし続けることができる機械
◆熱力学の第2法則
1.熱はそれ自身では低温の物質から高温の物質へ移ることはできない。
2.熱機関においてその動作流体により仕事をするには、それより低温の物質を必要とする。
3.第二種の永久機関を作ることは不可能である。
*第二種の永久機関:熱源から熱エネルギを得てそれを継続的に仕事エネルギに変換し、自然界に何ら変化を残さないような熱機関
4.自然界において起こるあらゆる変化はエントロピ総和が増大する方向に進む。
=エントロピ増大の原理
少し補足します。
熱が高温源から低温源に伝わるような現象は、その反対は自然には起こりません。このような現象を不可逆現象といい、このときエントロピは常に増大します。
可逆現象の場合はエントロピSの変化は与えられる熱量ΔQを温度Tで割ったものになります。。与えられる熱量Qの増減によってエントロピも増減します。
自然界において可逆現象はほぼありません。理想の断熱状態にあるとした場合、カルノーサイクルは可逆サイクルになります。
ΔS=ΔQ/T
では問題を解いていきます。
(ア)エネルギーのことではありません。×
(イ)可逆現象においてエネルギーが奪われた場合(ΔQがマイナス)、エンタルピは減少します。
(ウ)スクリューによりエネルギーが与えられるため(ΔQがプラス)、エンタルピは増大します。
(エ)抵抗により圧力が減少した場合、これは不可逆現象のためエンタルピは増大します。
(オ)高温⇒低温の熱移動は不可逆現象のためエンタルピは増大します。 //
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