令和3年
Ⅲ-23
外気温2.0℃の周囲環境から室内に2.8kWの熱が供給され、室内温度が23.0℃に保たれている。このとき必要となる最小電力として、最も近い値はどれか。
①20W ②100W ③200W
④2.5kW ⑤40kW
解答
③
*最初、私はこれを2.8kW供給されている状態なので電力は2.8kWでは?と解釈してしまいました。
Twitterでぽん二郎さん(@jirokuitai_pon)と言う方から「逆カルノーサイクルの式から求められるのでは?」とアドバイスをいただき解答にたどり着きました。
23℃と2℃という温度差から、23℃を保つための熱量2.8kWを供給するために必要な電力を求める問題でした。
*2022/3/26追記
仕事量の評価を冷房の成績係数で計算していましたが、正しくは暖房の成績係数で計算すべきでした。コメントでご指摘を受けて気づきました。該当部分を誤:赤字、正:青字にして修正しました。
[解くために必要な知識]
誤:逆カルノーサイクルの仕事
正:カルノーサイクルの仕事
*カルノーサイクルは高温源温度と低温源温度が決まっているとき、最高の熱効率を示すサイクルです。
外部からの仕事量をw、低温熱源Tcから取り出す熱量をqc、高温熱源へと送る熱量をqhとします。
このとき、次の関係が成り立ちます。(温度は絶対温度です。)
誤 W=qc×(Th-Tc)/Tc
正 W=qc×(Th-Tc)/Th
では問題を解いていきます。
問題の状態を図23.1に表します。
外気温が2.0℃で室内に、エアコンなど外部の仕事Wにより、2.8kWの熱量が供給されて23℃を保っています。このとき、逆カルノーサイクルの式から仕事Wは次のように求まります。
W=qc×(Th-Tc)/Tc
誤: W=2,800×{(273+23)-(273+2)}/(273+2)
誤: W=2,800×(296-275)/275=2,800×21/275
誤: W=213.8 //
正: W=2,800×{(273+23)-(273+2)}/(273+23)
正: W=2,800×(296-275)/275=2,800×21/296
正: W=199 //
コメントをお書きください
中村 徳昭 (金曜日, 25 3月 2022 16:32)
この問題は暖房の問題なので、冷房の成績係数で計算するのではなく、暖房の成績係数で計算しなければいけないと思います。そうすると最後の計算式は275で割るのではなく296でわり、その結果は凡そ199になり、最も近いのは200になります。暖房と冷房の成績係数の違いは1しかないので本問くらい各選択肢間で違いがあれば正解は③になりますが、各選択肢間が例えば20Wくらいずつの違いで出題された場合は、間違いを選択する可能性があります。
管理人 (土曜日, 26 3月 2022 09:11)
中村様
ありがとうございます。修正します。