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技術士一次試験 専門科目 機械部門 R3 Ⅲ-19

令和3年

Ⅲ-19

図のように、ばね定数kのばね、半径a、質量Mの中心で回転する均一な円板状の定滑車、質量mのおもり、及び質量がむしできるひもから成る系がある。このおもりは、つりあいの位置を中心に上下に振動することができる。このときの固有周期として、適切なものはどれか。ただし、滑車と紐との間にはすべりがないとし、定滑車は剛体とみなせるとする。

 

 

解答

 

[解くために必要な知識]

平成29年に同じ問題が出ています。H29 Ⅲ-21

 

19.1のように引張力Fxと回転トルクT0を受ける円板を考えます。

 

図19.1 引張力とトルクを受ける円板
図19.1 引張力とトルクを受ける円板

 

このとき、

◆直進運動の運動方程式

 F=ma(=md2x/dt2)=Fx-f

◆回転運動の運動方程式

 T=Iα(=Id2θ/dt2)=T0+fr

 

円板の慣性モーメントIzは図19.2に示すように1/2MR2

 

運動方程式

 md2x/dt2+kx=0

このとき、

固有角振動数 

 ωn=(k/m)

固有周期

 τ=2π/ωn

固有振動数

 f=1/τ

 

図19.2 円板の慣性モーメント
図19.2 円板の慣性モーメント

では問題を解いていきます。

 

19.3に示すようにひもに生じる張力をfとします。

 

図19.3 張力をfとする。
図19.3 張力をfとする。

このとき、張力fは鉛直上向き(mgと反対方向)に働くため、直線運動に関する運動方程式は次の通りです。

 

 md2x/dt2=mg-f

 

回転運動の運動方程式は

 ①張力fによるトルクTfは半径aから、Tf=fa

 ②ばね力によるトルクTkはフックの法則と半径aから Tk=kxa

 

Tfは右向き、Tkは左向きに作用するため運動方程式は次の通りです。

 

 Id2θ/dt2=fa-kxa=(f-kx)a

 

ここで回転角θと半径a、移動距離xには次の関係があります。

 x=aθ

よって

 (I/a)(d2x/dt2)=(f-kx)a

 f=(I/a2)(d2x/dt2)+kx

 

直線運動の運動方程式に回転運動の運動式から得られたfを代入します。

 

 md2x/dt2=mg-(I/a2)(d2x/dt2)-kx

 (m+I/a2)(d2x/dt2)+kx=mg

ここでI=1/2mr2より(問題ではm=Mr=a) 

(m+M/2)(d2x/dt2)+kx=mg

 

よって

 τ=2π√(m/k)

 τ=2π√[(M+2m)/2k] //