令和3年
Ⅲ-10
内径r、肉厚t(r≫t)の球形薄肉圧力容器に内圧Pが作用している。このとき、圧力容器に生じる円周方向応力として、適切なものはどれか。
①Pt/2r ②Pt/r ③Pr/2t
④Pr/t ⑤P/2πrt
解答
③
注意!
この問題文で「内径r」と表現されています。内径というと内側の直径を意味します。一方でrというと一般的には半径を意味します。おそらくこの問題文は「内径r」を内側の半径rという意味で使っていると思われます。しかし、繰り返しですが内径というと内側の“直径”を意味します。仮にrが直径を意味しているのであれば、この問題の解答欄に正しい解答はありません。
本解説では上記疑問はありますが、「内径r」を内側の半径rと捉えて解説を進めていきます。
つまり、内側の直径をd、内側の半径をr、両者には当然d=2rの関係があるとしています。
解説
[解くために必要な知識]
令和2年に類似問題が出ています。(令和2年Ⅲ-10)
◆図10.1のように内圧Pが作用する肉厚t、内径dの円筒形状に発生する応力
・軸方向応力
σz=Pd/4t
・軸方向ひずみ
εz=(σz-νσθ)/E
・円周方向応力
σθ=Pd/2t
・円周方向ひずみ
εθ=(σθ-νσz)/E
ただし、νはポアソン比
◆図10.2のように内圧Pが作用する肉厚t、内径dの球殻形状に発生する応力
・σ=Pd/4t
*それぞれの関係式は覚えておきましょう。
では問題を解いていきます。
球形薄肉圧力容器、つまり球殻形状です。内圧pが作用する球殻形状に生じる応力は次の通りです。
σ=Pd/4t
いま内側の半径がrのため、直径d=2rとなります。
よって
σ=Pr/2t //
コメントをお書きください