令和2年
Ⅲ-1
A群の材料の力学的性質について、これらを評価するための適切な試験がB群にないものはどれか。
A群
①縦弾性係数
②硬さ
③延性ー脆性遷移温度
④降伏点
⑤S-N線図
B群
引張試験
疲労試験
クリープ試験
シャルピー衝撃試験
破壊靭性試験
解答
②硬さ
解説
①縦弾性係数
縦弾性係数はヤング率とも呼ばれ引張試験で確認できます。丸棒などの材料を使い引張試験を行うとある引張力までは材料に生じる垂直応力と縦ひずみが比例関係にあります。この比例定数が縦弾性係数になります。
③延性-脆性遷移温度
シャルピー衝撃試験で確認できます。延性-脆性温度とは延性が無くなり脆性が現れる温度であり、シャルピー衝撃試験によって延性を調べることができます。
④降伏点
材料の引張試験で確認できます。丸棒(SS400)などの材料に引張力を与え、徐々に引張力を強くしていきます。このとき材料に発生する垂直応力とひずみの関係を示したものが下図で応力ひずみ曲線と呼ばれます。
引張力を徐々に強くしていくと、応力とひずみは比例関係で大きくなっていきます。しかしある点で応力が急に下がりつつひずみが大きくなります。このある点を上降伏点と言います。さらに引張力を与えていくと、再び応力が上昇し始めます。この再上昇する点を下降伏点と呼びます。
さらに引張力を強くしていくと、応力は最大値(引っ張り強さ)を示した後に再び下がり始めて最終的に破断します。
上降伏点以下の状態を弾性域といい、この範囲にある間は引張力を除去すれば材料は元の状態に戻ります。(弾性変形)
上降伏点以上の状態を塑性域といい、この範囲にくると引張力を除去しても材料は変形したままになります。(塑性変形)
*応力ひずみ曲線の関係性と用語は確実に覚えましょう
⑤S-N線図
疲労試験で確認できます。ある材料に負荷を与えたり除去したりを繰り返します。この繰り返し数をN、応力振幅をSとして縦軸にS、縦軸にNをとったものがS-N線図です。
よってB群にないものは②硬さになります。
なお、硬さを確認する代表的な試験は、試験片にダイヤモンドの圧子を押込むことでできるくぼみの面積で評価するビッカース硬さ試験や、同様の手順で得られたくぼみの深さで評価するロックウェル硬さ試験、他にブリネル硬さやショア硬度などがあります。 //
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