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技術士一次試験 専門科目 機械部門 R1 Ⅲ-31

令和1年

Ⅲ-31

流体力学に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

 

 

① 粘性の無い流れをポテンシャル流れと呼ぶ。

② 強制渦は渦度の存在しない渦である。

③ ひずみと応力が比例関係にある流体をニュートン流体と呼ぶ。

④ 非圧縮性流体の連続の式は、流体の密度に依存しない形で与えられる。

⑤ 流線・流脈線・流跡線のすべてが一致することはない。

 

解答

 

解説

①渦のない流れをポテンシャル流れと言います。

②渦のある流れの場合、右図の強さを表すものが渦度です。

31.1に渦のない流れと渦のある流れのイメージを示します。流体中の微小な粒子に着目したときに、この流体粒子が下流に流れるとともに回転しているような流れが渦のある流れです。

 

 

図31.1 渦
図31.1 渦

③ニュートン流体とは粘性のある流れでせん断応力τが速度勾配duに比例するものを言います。

図31.2 流体の粘性
図31.2 流体の粘性

31.2に示すように2枚の平板の間(幅h、平板面積A)を流体で満たし、上側の板を速度Uで動かします。このとき流体が粘性をもつならば平板を動かすために必要な力Fは次の通りです。

 F=μAU/h

 

平板の単位面積当たりの摩擦力=せん断応力τとなるので、

 τ=F/A=μdu/dy

これをニュートンの粘性法則と言います。

 

 

 

④非圧縮性流体の連続の式は次の通りです。

 AV=一定

 

ただし、Aは流路断面積、Vは流速を表します。

 

なお、圧縮性流体の連続の式は次の通りです。

 ρAV=一定

 

非圧縮性流体では密度に依存しない形に、圧縮性流体では密度に依存する形になります。

 

流線

定常流において流体中の各点で流れの方向と一致するように引いた線のことを言います。水の流れにインクを垂らしたときに描くは流線の一例です。

 

流脈線

ある点を通過した流体のすべての粒子がある瞬間に存在する点を結んだ線を言います。定常流では流線に一致します。線香の煙をある瞬間に写真撮影した物がその一例です。

 

流跡線

流体中のある点に粒子を置いたとき、この粒子は時間とともに移動します。この粒子が通った線がその一例です。定常流では流線に一致します。

 

定常流においては、流線、流脈線、流跡線は一致します。  //