令和1年
Ⅲ-28
理想気体の断熱変化(等エントロピー変化)では、圧力、体積、温度、比熱比をそれぞれp、VT,γとすると、、pVγが一定となる関係が成立する。これより導かれる関係として最も適切なものはどれか。
① pγTγ-1が一定
② pγT1-γが一定
③ pγT が一定
④ p1-γTγが一定
⑤ pγ-1Tγが一定
解答
④
解説
[解くために必要な知識]
理想気体の状態変化(状態1から2への変化)についてまとめます。
(1)等温変化(Tが一定)
・状態方程式
pv=RT
・エネルギ式
dq=cvdT+pdv=cpdT-vdp
参考(熱力学の基本式、エンタルピ・比熱の定義)
dq=du+pdv=dh-vdp
du=cvdT
dh=cpdT
u:内部エネルギ
h:エンタルピ
・仕事(絶対仕事と工業仕事)
W12=q12=∫pdv=-∫vdp=Wt12
ただし積分範囲は1から2まで。
・熱量
q12=p1v1ln(v2/v1)=p1v1ln(p1/p2)=RT1ln(v2/v1)
・エンタルピ
ds=s2-s1=∫ds=∫dq/t=Rln(v2/v1)=Rln(p1/p2)
(2)等圧変化(pが一定)
・状態方程式
v/T=R/p=一定
・エネルギ式
dq=cpdT
・仕事(絶対仕事と工業仕事)
W12=p(v2-v1)=R(T2-T1)
Wt12=-v(p2-p1)=0
・熱量
q12=∫cpdt=h2-h1
ただし積分範囲は1から2まで。
・エンタルピ
ds=s2-s1=∫dq/t=cpln(T1/T2)
(3)等容変化(vが一定)
・状態方程式
p/T=R/v=一定
・エネルギ式
dq=cvdT
・仕事(絶対仕事と工業仕事)
W12=p(v2-v1)=0
Wt12=v(p1-p2)
・熱量
q12=∫cvdt=u2-u1
ただし積分範囲は1から2まで。
・エンタルピ
ds=s2-s1=∫dq/t=cpln(T1/T2)
(4)断熱変化(sが一定)
・状態方程式
pv=RT=一定
・エネルギ式
dq=Tds=cvdT+pdv=cpdT-vdp=0
cvdT+pdv=0 =cpdT-vdp
pdv+vdp=RdT
(cv+R)pdv+cvvdp=0
cp-cv=0
cpdv/v+cvdp/p=0
比熱比κ
κ=cp/cv
pvκ=一定
Tvκ-1=一定
・仕事(絶対仕事と工業仕事)
W12=∫pdv=cv(T2-T1)=(p1v1-p2v2)/(κ-1)
Wt12=-∫vdp=-cp(T2-T1)=κ(p1v1-p2v2)/(κ-1)
(5)ポリトロープ変化
・一般的な状態方程式
pvn=一定
Tvn-1=一定
n:ポリトロープ指数
・熱量
q12=(n-κ)(T2-T1)cv/(n-1)
dq=(n-κ)cvdT/(n-1)
・仕事(絶対仕事と工業仕事)
W12=(p1v1-p2v2)/(n-1)=R(T1-T2)/(n-1)
Wt12=n(p1v1-p2v2)/(n-1)
・熱量
q12=∫cvdt=u2-u1
ただし積分範囲は1から2まで。
・エンタルピ
ds=s2-s1=(n-κ)/(n-1)・cvln(T2/T1)
・ポリトロープ比熱
cn=(n-κ)/(n-1)・cv
dq=cndT
[ポイント]
等温変化 n=1、cn=∞
等圧変化 n=0、cn=∞
等容変化 n=∞、cn=cv
断熱変化 n=κ、cn=0
*ここでは詳しく解説しませんが、熱力学で確実に得点するためには上記内容を何でもよいので熱力学のテキストをみて覚えておきましょう。少なくとも、ポリトロープ変化のポイントでまとめた内容は覚えておきましょう。
では問題を解いていきます。
断熱変化ではs(エントロピー)が一定となり、次式が成り立ちます。
pv=RT=一定 (1)
pvκ=一定 (2)
(1)式より、
v=RT/P
(2)式に代入します。
p(RT/P)κ=一定
ここでRは定数(一定)のため、上式は次のようRを消去できます。
p(T/P)κ=一定
この式を変形します。
p(T/P)κ=一定
Tκp/pκ=一定
Tκp1-κ=一定 //
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