令和1年
Ⅲ-15
振動系における減衰振動に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
①減衰比はゼロより小さくなることはない。
②減衰比は1より大きくなることはない。
③減衰が存在し、系が振動するとき、共振時の応答は有限の振幅になる。
④減衰が存在し、系が振動するとき、自由振動は時間とともにゼロに収束する。
⑤減衰が存在し、系が振動するとき、固有振動数は減衰が無いときに比べて小さくなる。
解答
②
解説
[解くために必要な知識と周辺知識]
減衰係数c[N/(m/s)]の減衰系(ダンパ)とばね定数k[N/m]のばねを有する質量m[kg]の自由振動について図15.1にまとめます。
図にあるように、c>2√(mk)の状態を過減衰振動といい、振動は起きません。c<2√(mk)のとき、不足減衰振動といい、振動が起きます。
減衰をもつ系で振動が起きるとき、その振幅aは時間とともに小さくなっていき、いずれはゼロに収束します。
過減衰振動と不足減衰振動の境界となる減衰係数c=2√(mk)を臨界減衰係数ccrと言います。また、減衰係数cと臨界減衰係数ccrとの比を減衰比と言います。
減衰比は1を超えると過減衰振動、1を下回ると不足減衰振動となります。また、減衰係数cはマイナスの値をとらないため減衰比がゼロより小さくなることはなりません。
固有振動数をfとすると、固有振動数と固有角振動数ωには次の関係があります。
2πf=ω
では問題を解いていきます。
①正しい
②減衰比ζが1より大きいときは過減衰振動となります。
③正しい(図14.1におけるaでありその値は時間とともに減衰する。)
④正しい
⑤正しい
固有振動数と固有角振動数との間には2πf=ωの関係があります。
また、減衰を持つ系の固有角振動数ωncは次の通りです。
ωnc={√(1-ζ2)}・ωn
振動が存在するとき、すなわち不足減衰振動ではζ<1となります。(ただし、ζはゼロ以下の値をとることはありません。)よって√(1-ζ2)は必ず0<√(1-ζ2)<1となります。
つまり減衰が存在する場合のωncは存在しないωnに比べて小さくなります。固有角振動数が小さくなるということは固有振動数も小さくなるという事です。 //
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