エアシリンダーは空気を消費します!
はじめに
はじめに当たり前のことを言います。
エアシリンダのように空気圧で動作する機器、エアアクチュエータは動作すると空気を消費します。この空気は圧縮機により圧縮された空気です。エアアクチュエータが消費する空気は無料ではありません。圧縮機の稼動に必要な電気代がかかっています。
設備導入に当たって多くの方は電気容量、ブレーカー容量を気にします。容量超えるとブレーカー落ちるからです。電気いっぱい使うと電気代がかかるからです。それと同じで空気消費量も気にしておかないと、もし万が一にでも圧縮空気の供給量を消費量が上回ってしまったら新しく導入した設備、のみならず既存の設備の動きまでおかしくなってしまいます。
空気消費量はしっかりと確認しましょう。
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空気は無料ではありません! エアシリンダーの空気消費量について(本記事)
電磁弁の応用その1 電磁弁を使ったエアシリンダーの制御について
電磁弁の応用その2 制御回路の例
空気消費量の基本式
複動式のエアシリンダーを考えます。複動式についてはこちら「電磁弁とエアシリンダーその①」をご確認ください。
図1(a)はロッドが引き込まれた状態です。
図1(b)はロッドを押し出した状態です。
図1(c)は再度引き込んだ状態です。
押し出したとき、引き込んだ時、それぞれの動作での空気消費量V1'およびV2’を見ていきます。
計算の基となる公式はボイル-シャルルの法則
PV/T = 一定
シリンダーの駆動による空気の温度変化は基本的にないため温度項は無視します。そうすると、図(a)⇒図(b)の変化で次式が成り立ちます。
(P+Pa)×V1=Pa×V1’ ①
この①式がシリンダーの空気消費量を計算する基本式になります。
絶対圧とゲージ圧
①式は左辺がシリンダー内部の状態、右辺が解放されたときの状態を表しています。
ここでPaは大気圧です。Pはゲージ圧です。そして上式は絶対圧を基準(絶対真空をゼロ)にしています。絶対圧とゲージ圧と大気圧の関係を図2に示します。ボイルシャルルの法則では絶対圧で考えますが、設備に使用される圧力計は多くの場合でゲージ圧表記です。そのため左辺、シリンダー内部の圧力は絶対圧では【P+Pa=P+0.1013MPa】となります。大気解放された状態の圧力は【Pa=0.1013MPa】となります。
シリンダーの空気消費量実式
ここで図3に示すように、シリンダー各種寸法およびそれぞれの単位系を次のように定めます。
s:シリンダーストローク(mm)
D:シリンダー内径 (mm)
d:シリンダーロッド外形(mm)
V:体積(L)
P:圧力(MPa)
【参考】 MPa=N/mm^2
このときのV1とV2はそれぞれ次のようになります。
V1=(πD^2/4-πd^2/4)×s
V2=(πD^2/4)×s
要するにV2と比べてV1はロッドの分だけ体積が少なくなります。それぞれを整理すると次のようになります。
◆ロッドを押し出す場合(a)⇒(b)の空気消費量
V1’ (L)=10^(-6)×[(πD^2/4-πd^2/4)×s]×(P+Pa)/Pa ②
◆ロッドを引き込む場合(b)⇒(c)の空気消費量
V2’(L)=10^(-6)×[πD^2/4×s]×(P+Pa)/Pa ③
複動式のシリンダーが往復動動を行った場合は①+②が空気消費量になります。
単動押出式のシリンダーが往復運動を行った場合は①が空気消費量になります。
単動式引込式のシリンダーが往復運動を行った場合は②が空気消費量になります。
複動式と単動式それぞれの違いはコチラ⇒「電磁弁とエアシリンダーその①」
前回の記事は「複動式エアシリンダーを使ったお遊び」です。
次回の記事は「本体だけじゃない!配管内部の空気消費量」を予定しています。
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