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1.ボタンを一瞬でも押すと動作する。
ON(押出)信号をうけるとロッドが押し出され、OFF(引込)信号をうけるとロッドが引き込まれるように設計します。
図1(1)に示すようにシリンダーは複動式、電磁弁は5ポートでダブルソレノイドを使用します。
別途、押しボタン1(PB1)と押しボタン2(PB2)を用意してPB1/PB2をそれぞれON/OFF信号、信号の番号としてはX1/X2とします。電気回路は割愛します。
PB1を押すと信号X1が電磁弁の左側のソレノイドに入力、励磁されます。このとき図1(2)に示す通り、電磁弁の状態が左に移り、シリンダー側のポートBから排気、Aに加圧されます。その結果、エアシリンダーは押し出し動作をします。
PB2を押すと信号X2が電磁弁の右側のソレノイドに入力、励磁されます。このとき図1(3)に示す通り、エアシリンダーは引き込み動作をします。
ダブルソレノイドの場合、状態が保持されるため、PB(Push Button:押しボタン)を押し続けなくとも動作します。つまり、PBを一瞬だけ押して手を離してもストロークエンドまで動作します。
ではボタンを押している間だけ動作し、手を離すと原点に返ってほしい。
あるいは、ボタンを押している間だけ動作し、手を離すとその場で止まってほしい場合はどうすればよいでしょうか。
順に見ていきます。
2.ボタンを押している間だけ動作し、手を離すと原点に返る動作
シングルソレノイドを使用します。シングルソレノイドはソレノイドを励磁していないときは、ばねによる復元力が働きます。
図2(1)に示すように5ポートのシングルソレノイドを複動シリンダーに組合わせます。押しボタンは1つです。
押しボタンを押している間は電磁弁が励磁されて、図2(2)の状態になり、シリンダーロッドは押し出されます。手を離すと励磁が切れてばね力が働き、図2(3)に示すように電磁弁は右側の状態になりロッドは引き込まれます。
シリンダーが動作中、ストロークエンドに到達する前に手を離しても図2(3)の状態になり、ロッドは引き込まれます。
図2(4)のように接続ポートを入れ替えるとロッドが出た状態が原点になります。
3.ボタンを押している間だけ動作し、手を離すとその位置で停止する動作
3位置センタークローズドの電磁弁を使用します。信号が何も入っていないときは全てのポートが閉止されます。
PB1を押すと電磁弁の状態は左に移り、シリンダーのBポートから排気、Aポートへ吸気されてロッドが押し出されます。
PB2を押すと逆にロッドが引き込まれます。
押し出し、あるいは引き込み動作の途中でボタンから手を離すと、電磁弁の状態は真ん中の状態になり、エアシリンダーのポートA,Bともにエアーが抜けないためその位置で一時停止します。
PBを押すと再び動作します。
ダブルソレノイドを使う場合、両方のソレノイドを励磁してしまうと寿命に影響したり故障の原因になったりすることがあるので注意が必要です。
4.リミットスイッチが切れていると動作しない
いわゆるインターロックです。例えば扉にリミットスイッチを取り付けておき、開閉状態を感知します。扉が開いている状態では押しボタンを押してもシリンダーが動作しないようにすることを考えます。
図4のようにシリンダーの動作はダブルソレノイド2位置5ポート電磁弁を使います。この電磁弁の1番ポート、つまり圧縮空気の供給ポート入口に電磁弁を一つ増やします。
(SV2:シングルソレノイド2位置5ポート。)
扉が開いてリミットスイッチ(LS1))がオフになっているとき、図4(2)に示すようにSV2はばね力により右側の状態になります。SV1へとつながるポートは排気ポートです。つまりSV1へは圧縮空気が供給されません。この状態ではいくら押しボタンを押して図4(2)や(3)のようにSV1を切り替えても、そもそも圧縮空気が送られてきていないためシリンダーを動かすことはできません。
図4(4)のように扉が閉まりリミットスイッチが入ることでSV2へ信号X3が入力されてコイルが励磁して左側の状態に移ります。この時初めてX1やX2信号によりSV1を切り替えてシリンダーが動くということになります。
なおこの回路の場合は、リミットスイッチがオフの時にシリンダーのポートが両方とも大気に開放されることになります。
つまりシリンダーには空圧がかかっておらずフリーの状態になっています。
「リミットスイッチがオフになったときにシリンダーをその位置で停止させたい」あるいは「原点復帰させたい」のであればまた異なる回路を組む必要があります。
この二つの回路の解説は後日アップ予定です。
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