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◆生産技術のお仕事

◆はじめに

生産技術のお仕事は4つです。

私は新卒のころから生産技術者として7年目で技術士(機械)を取得しました。

モノづくりの現場において生産技術は非常に重要なポジションです。そんな生産技術のお仕事は4つです。

 

1.どうやって創るか検討する。

2.試しに作ってみる。

3.製品として造る。

4.安定して造る。

 

「創る」は新しいものを生み出すこと。製品の製造方法を編み出します。

「作る」は小規模の生産活動。製品の試作です。

「造る」は大規模の生産活動。製品の量産です。

「安定」は現場の運用・管理・改善です。

 

高校の時に習った電気部品、コンデンサをつくることを例に考えていきます。

1.どうやって創るかを検討する。

コンデンサは不導体を導体で挟んで作られています。記号は図1電気回路の例にある、Cの形です。

コンデンサにはスマホやパソコンなどの電子機器内部に使われる小さなものから、発電所や変電所、工場受変電設備など産業用で使われる大きなものまであります。

ここで「不導体=ラップフィルム」「導体=アルミ泊」として「不導体を導体で挟む」という事を具体的にはどのようにすればいいか考えていきます。

 

 

 

電源と抵抗とコンデンサを繋いだ電気回路図です。
図1 抵抗とコンデンサの電気回路

最も簡単には図2に示すように必要な量だけラップフィルムとアルミ泊を切り取って重ねれば完成です。

 

ところでコンデンサは導体と不導体の接触面積(と導体間距離)の大きさで静電容量が決まります。静電容量がとても大きな製品をつくる場合はいちいち切ったものを重ねるのではなく、図3に示すように3枚を重ねて巻き取ってしまえばつくれます。

ここまでが「創る」ステップです。発想力が問われます。

 

アルミ箔とラップフィルムを切って重ねます。
図2 アルミとフィルムでコンデンサ

アルミ箔とフィルムを同時に巻き取ればコンデンサができます。
図3 アルミ箔とフィルムを巻き取る
図4 巻取り治具
図4 巻取り治具

2.作ってみる。

ラップとアルミの3本を1人で重ねてきれいに巻き取ることはほぼ不可能です。そこで図4のような巻き取り治具を作ります。

巻き出し側と巻き取り側に分けます。巻き出し側の軸にセットした材料を引き出して巻き取り側の軸にテープなどで固定し、ハンドルを回転させて巻き取ります。

実際にやってみるとたるんでしわができたり蛇行してしまい上手く巻き取れません。

たるみ、しわ、蛇行の主な原因の一つは張力が安定しないこと。そこで張力を与えるためのローラーを追加したり巻き出し側にブレーキを付けるなどの改善を重ねて試作品を完成させます。

 

ここまでが「作る」ステップです。軸の強度、軸受け選定、回転速度、回転トルクなど機械設計の知識が必須です。

 

3.製品として造る。

製品としてつくるためには「QCD」を成立させる必要があります。不良を作らない品質、儲けが出せるコスト、ニーズにこたえられる生産能力の3つです。

この3つの視点で場合によっては2.でつくった治具を2台、3台と増やして生産するか、あるいは図5に一部示すようにモーターやセンサー、空圧機器を使って自動化設備を設計製作するかを決定します。

(参考ブログ:自動化のススメ

巻取と巻き出しを自動で行うためのシステム例です。
図5 巻取り巻き出し自動化のシステム例

ここまでが「造る」ステップです。空圧機器(参考ブログ:電磁弁とエアシリンダー)、電動機、センサー(参考ブログ:自動化のためにセンサーを使おう!)、自動制御(参考ブログ:自動制御)、などの知識が必須です。

 

4.安定して造る

不良を出さない。納期を守る。このために日々、設備保全やトラブル対応を行います。保全予防、設備の設計段階でしっかりと保全のことを考慮した設計としたうえで予防保全、設備トラブルを起こさないための先回りの保全活動を行います。(参考ブログ:保全について

また、製造現場では4種類のデータ(参考ブログ:現場で取得すべき4種類のデータ)、「生産実績」「稼働率と可動率」「工程能力指数Cp、Cpk」「保全に活きるデータ」を取得して管理運営を行います。

設備の構想設計、保全予防が正しくなされた設備を設計値で正しく運用すればゼロディフェクトを達成できます。

 

ゼロディフェクト構想については日刊工業新聞社「機械設計」5月号、6月号をご覧ください。

 

保全活動の予防保全にはゼロディフェクト構想、保全予防には機械を扱う経験が必須です。

 

◆まとめ

生産技術の仕事はモノづくりの根幹をなす重要な仕事です。いくら製品が良くても生産技術が未熟ではモノは作れません。

 

生産技術者には機械、電気、制御などの設計知識とデータ解析などの統計知識を駆使して新しい設備を設計開発して設備の運用管理、保全、改善に取り組むことが求められます。

 

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